これから賃金体系を作る経営者へ『精皆勤手当を作ってはいけません』 096-273-7427 〒860-0053 熊本県熊本市西区田崎1-3-60 コアマンション駅南201 営業時間:平日 9:00~17:00 土曜 9:00~12:30
本日、問題としたいのが、労働基準法第136条です。以下が条文になります。
第136条 使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
問題は、この条文は、後付けの条文であるということです。私が労働基準法を勉強したころは、労働基準法は108条くらい(記憶があいまいで申し訳ありません)までしかなく、確実に後でつけられた条文であるということです。
この条文がなぜ問題になるかと言いますと、以下のようになります。
1.この条文が現れる以前から、『精皆勤手当』というものが企業によってはありました。したがいまして、法136条が、精皆勤手当に対して事後法的に働くというものです。精皆勤手当は、ご存じのように1か月の所定労働日数をすべて出勤したときに与えられるものです。手当をつける条件は、本来、自由なはずです。したがいまして、『有給休暇を取得した月は、精皆勤手当の対象にしない』とするのは、会社側の自由な裁量の範囲のはずです。ところが、第136条を適用すると、有給休暇を使って休んだ月も、精皆勤手当を支払わなければならなくなるということです。もし、法136条を理由に前述のような状況で精皆勤手当を払えというのであれば、それは事後法の適用ではないでしょうか?
2.条文自体を読みますと、『賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。』とあります。
果たして、条件に合わない人に精皆勤手当を支払わないのは、賃金の『減額』になるかということです。
私は、本来手当というものは、基本給に『加算(または支給)』するものであると考えています。つまり、精皆勤手当を支払わないことがあったとしても、それは給与を減額したのではなく、条件に合わない人に対して、手当を『加算しなかった』のであるという解釈の方が妥当であるものと思います。繰り返しますが、私の解釈では『減額』ではないのです。
3.この条文自体、努力項目のはずです。それは『不利益な取り扱いをしてはならない』とは書いてないからです。『不利益な取り扱いをしないようにしなければならない』と書いてあります。絶対だめならば、『しないように』は必要なく、『してはならない』と書かなければなりません。努力事項のはずなのに、『ダメ』だという判例が出ているのです。
それでも、有給休暇を取得した人に精皆勤手当を支払わないことは違法であるというのであれば、新しく賃金制度を作る経営者の人たちに『精皆勤手当を作ってはいけない』と指導しなければならなくなります。
有給休暇には、労働という実態がなくとも賃金(日当)が支払われるわけです。さらに労働という実態が一部欠けていたとしても、精皆勤手当を支払わなければいけないわけです。一部が10日でもです。これはミステリーですね。都市伝説ですね。
日本がこれ以上おかしな方向に進まないことを祈るだけです。
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